平成31年に池袋で発生した高齢者ドライバーによる死亡事故は世論に大きな影響を与え、高齢者に対して運転免許証の自主返納を迫るような意見がSNS等で数多く見受けられるようになりました。全国の自治体でも、運転免許証を自主返納した高齢者に対して、公共交通のチケットを配布するなどの支援が様々に行われています。一方で、免許返納後に、うつ病や要介護認定のリスクが高まることも明らかにされてきています。運転免許を返納するかしないかの選択は、まさに健康リスクを受け入れるか、交通事故リスクを受け入れるかの選択であり、高齢者はどちらかのリスクを選ばなければならないジレンマ状況に直面していると言えます。では、この運転免許返納ジレンマをどのように解消していけばよいのでしょうか。