ここでは、移動のために支払うおカネで「誰が儲かるか」について考えます。
たとえば、夕飯の買いものをするとき、野菜やお肉、お魚を買うなら「地元のものを買いたい」と思いませんか?
あるいは、家電を買うとき、「やっぱり日本のメーカーのものを買いたい」と思いませんか?
地元のものや国産のものを選ぶとき、「安心だから」という思いもあると思いますが、
「地元の経済が、日本の経済が元気になってほしい」という思いもあるのではないでしょうか?
では、移動する手段を選ぶ(=おカネを使う)とき、そのおカネで誰が儲かるのでしょう?
クルマを購入し、維持していくにはたくさんのおカネがかかります。
車両の価格はもちろんのこと、税金や保険代、車検点検費、駐車場代、燃料代などがあります。
駐車場代は地元の地主の人の儲けになりますが、クルマの購入費は工業の盛んな地域でなければ、多くが地元の人以外の儲けになりますし、燃料代などは日本国内のみならず海外にまで流出してしまいます。
一方で、公共交通にかかるおカネは、およそ6割が人件費で、車両の購入費やその他の支出は4割前後となります。
バスや路面電車の運転手が、わざわざ遠方から通勤していることは少ないので、人件費のほとんどは地元の人の儲けとなります。
そうしたおカネの行先を計算すると、公共交通に支払うおカネは、少なくとも60%が地元の人の儲けになる一方で、
クルマに支払うおカネは、40%くらいしか地元の人の儲けになりません。
つまり、クルマに依存する生活では、公共交通を利用した生活に比べて、移動に対して同じだけおカネを払うなら、払ったおカネの20%以上が、地元の外に流出してしまいます。
逆にいえば、公共交通の利用を中心としたライフスタイルは、地元を活性化するということです。
自分のためだけでなく地元の地域のための、『かしこい』クルマの使い方を、『かしこい』おカネの使い方を考えてみませんか?